2014年8月13日水曜日

八月十三日 夕方のクリーニング店

迫り来る闇の中に駆け込んだクリーニング店。


店員は引き換えの紙切れを片手に、おびただしい数の衣類を掻き分けている。


いつまで経っても私のワンピースは出てこない。


店員はズボンを取り、紙切れをにらめっこをし、ズボンを戻す。


店員はコートを取り、紙切れとにらめっこをし、コートを戻す。


私は不安になり、「ワンピースです」と小声で言う。


すると一斉にワンピースがドサドサと床に落ちた。


店員は「黙っていてください……」と申し訳無さそうに、だがキッパリと言う。


私のワンピースは、あらゆるワンピースの下敷きとなっていた。


息を切らせてワンピースを掘り出した店員の顔は、夕闇と同化して目鼻が見えない。