2013年12月9日月曜日

奇行師と飛行師12

鯨怪人が「駱駝の瘤姫を探す」といって聞かないので、変人奇人の一行は砂漠を延々と飛行していた。
飛んでも飛んでも砂漠しか見えない。奇行師は口数が減り、飛行師は何度も墜落しかかった。蝸牛男は相当に参っていて粘液も乾き、顔色が悪い。鯨怪人は、うわ言のように「瘤姫瘤姫」とつぶやき続けている。
「駱駝の蜃気楼が出た」
奇行師の指すほうを見ると、そこには揺らめく巨大な駱駝。
「瘤姫!」
鯨怪人が砂漠に飛び込み泳ぎ始めた。