2013年10月18日金曜日

奇行師と飛行師7

飛行師が目覚めると、ニヤニヤと心配そうな顔でこちらを覗きこむ奇行師と、見知らぬ顔があった。
「でかしたぞ、飛行師。早速、変人を見つけたよ」
「蝸牛男です、はじめまして、飛行師」
蝸牛男は蝸牛の殻を背中に3600個背負っているのだった。
握手した時についた粘液を、飛行師は検分するように匂いを嗅いだ。
「立派な変人だよ、蝸牛男は」と、奇行師は誇らしそうに言った。
これから蝸牛男もともに旅をするという。
「さあ、次の変人を探すのだ! 飛べ飛行師!」
遠巻きに見ていた人々が、手を降って見送る。
奇行師と蝸牛男を背に立たせ、飛行師は飛ぶ。地上低く。