2013年10月18日金曜日

奇行師と飛行師7

飛行師が目覚めると、ニヤニヤと心配そうな顔でこちらを覗きこむ奇行師と、見知らぬ顔があった。


「でかしたぞ、飛行師。早速、変人を見つけたよ」


「蝸牛男です、はじめまして、飛行師」


蝸牛男は蝸牛の殻を背中に3600個背負っているのだった。


握手した時についた粘液を、飛行師は検分するように匂いを嗅いだ。


「立派な変人だよ、蝸牛男は」と、奇行師は誇らしそうに言った。


これから蝸牛男もともに旅をするという。


「さあ、次の変人を探すのだ! 飛べ飛行師!」


遠巻きに見ていた人々が、手を降って見送る。


奇行師と蝸牛男を背に立たせ、飛行師は飛ぶ。地上低く。



2013年10月11日金曜日

奇行師と飛行師6

奇行師は飛行師の背中に立った。


飛行師は下駄とハイヒールが食い込む背中の傷みに叫び声を上げながら、飛行を始めた。


「快調快調」


遠巻きに二人を見る人々に満足した奇行師は「飛ばせー!」と煽る。


その瞬間、飛行師は飛行したまま気を失った。



2013年10月8日火曜日

奇行師と飛行師5

「そうしたら、おまえのそのハイヒールと下駄の姿が無駄にならないか」
と飛行師は問う。
「ハイヒールと下駄は履いたまま、キミに乗って飛ぶほうが余程奇行じみているだろう」
と奇行師は答える。
「そうして旅に出るのだ」と奇行師は言った。
世界中の変人とキャラバンを組もうじゃないか、と。奇行師は目を白黒させながら宣言するのだった。



2013年10月5日土曜日

奇行師と飛行師4

「キミ、浮き足立っているね」


ついに飛行師は奇行師の支えなくとも飛べるようになったが、着水瞬間の競泳選手のような体勢である。


勢いよく飛んでいるようにはどうやっても見えない。地面に突っ込んでいくような格好である。


だが、飛行師はあまり気にしていないらしい。奇行師も「浮いて歩く」だけの飛行師よりもずっと奇行で宜しいと思っている。


つんのめって飛ぶ飛行師の傍らをカツンコロンと歩きながら奇行師は言った。


「我を乗せて飛ぶことはできるか?」



2013年10月2日水曜日

奇行師と飛行師3

飛行師はもう少し「飛行らしい姿」で飛行することを望んでいた。


直立で、地面すれすれを飛ぶのではなく、スーパーマンのように飛びたいと願った。


そこで奇行師は、飛行師を持ち上げることにした。「飛行師の修行を手伝う」という名目ではあったが、これぞ奇行だと考えたからである。


奇行師は、赤いマントを羽織り、相変わらずのハイヒールと下駄という出で立ちで、飛ぶ飛行師の腹を支えて歩いた。


カツコロンカツコロン。