2013年3月10日日曜日

うがい薬

「赤いうがい薬と、青いうがい薬と、黄色いうがい薬、どれがいい?」


と息子が言う。お店やさんごっこをしているようだ。


「それじゃあ、黄色いうがい薬下さい。ゴホンゴホン」


風邪をひいている風をして、客の役をやって見せる。


「黄色いうがい薬は、風邪には効きません。ヒマワリと話ができます」


最後は息子の声ではなかった。低くてガサガサした男の声。


「ハイ! 3250円です」


なんて高いうがい薬だ。と、思う前に古びた小瓶を渡された。絵の具を溶かしたような黄色の色水が入っている。


おもちゃのお札と引き換えに小瓶を受け取る。こんな瓶、どこで拾ってきたのだろう。


「ね、早くうがいして! 早く早く!!」


瓶の蓋を開けると、庭に咲いたヒマワリ達が一斉にこちらを向いた。