2012年9月10日月曜日

連れてゆく

 ある朝、まだ着替えないうちに、クマ氏がやってきた。
「お連れします」
 と言う。どこへ? こんな格好のままでよいのかしら? お財布は? 鍵は? 歯も磨いていないのよ?
 色々と質問が湧いてきたけれど、クマ氏は私に背中を向けて屈んだ。
 私は仕方なく、クマ氏の背中にしがみついた。
 よれよれの赤いチェックのパジャマのままクマにおんぶされる。
 クマの背中は広かった。
「私をどこに連れてゆくの?」
 答えを聞く前に、私は眠ってしまった。
 あんまりクマ氏の背中が頼もしいから、どこに連れて行かれてもいいような気がしている。