2010年11月13日土曜日

ガス燈とつかみ合いをした話

現役のガス燈が一つだけ残っていると聞いて見に行った。
ガス燈はポツンと一人で儚い炎を揺らしている。
ガス燈が電灯を嫌うそうで、周りには他に街灯が全くない。
暗い住宅地の夜道に一つだけのガス燈。なんだかちょっと怖いような景色だ。
そう思っていたのが声に出ていたらしく、ガス燈の炎がメラメラと燃え上がった。
風が吹いて炎を煽る。
「落ち着いて、火事になってしまう」
すると、お前が怒らせたんだと言わんばかりに、ガス燈がつかみかかってきた。
そこに大風が吹いてガス燈は、フッと消えてしまった。
それきりガス燈はうんともすんとも言わなくなった。
とっくの昔にガス燈用のガス管は閉められ、ガスは通っていなかったそうだ。