2010年4月30日金曜日

宝物

「宝物は全部、私の中に大事にしまってあるの」
僕の彼女はよくそんな話をする。やせっぽちなくせにお腹がぷっくり出ている。幼女のような美しい彼女。
僕はそのお腹をやさしく撫でながら「いいだろ?」と囁いた。
小さく頷いたのを確認して、彼女の全身にキスを浴びせ、太腿からとろけた股間へ指を這わせた。
「え?」
彼女の中に、異物を感じ、引っ張り出す。彼女が甘い吐息で「イヤ」と言う。
「百点満点のテスト」
「どうしてこんなものが?」
「宝物だから。ずっと大事にしたいから」
宝物は次から次へと出てきた。死んだペットの首輪、初めて買った小説、綺麗な水晶玉……。子供の時大事にしていたという人形を引き出した時、とうとう僕はトイレへ駆け込んだ。
「ねぇ、来て?」
と彼女は潤んだ目で言った。「今一番の宝物をしまわなくちゃ」
僕はもうすっかりその気をなくしていたが、それは全く関係がないようだった。
彼女にとって、僕は保管すべき宝物でしかないのだ。こうして僕は彼女に呑み込まれる。