2010年2月12日金曜日

偽物の世界

僕は或日、気が付いたのだ。
この世界は全て、僕を貶めるためのものだと。
母は宇宙人で、父はクローン人間だ。
鏡は綺麗事しか映さないし、友達は偽善をプログラムされている。
大好きだと勘違いしていた音楽は洗脳用の音でしかない。

食べ物がまずいのは、試験管の中で作られたからだ!
日の光があたたかくないのは、打ち上げられた人工の太陽だからだ!
これで、産まれてから抱いていた違和感のすべてが腑に落ちた。

いまや僕が信じられるのは、僕が書いた小説の中の世界だけだ。
友達に読ませたら、ある者は「素敵なおとぎ話だ」と言い、別の者は「SFだ」と微笑んだ。
「ありがとう」。
彼らの背中をぽんぽんと叩く。僕の背中と同じ、小さな螺子を探る。
あきよさん
いさやん
砂場しゃん
三里さん