2009年7月24日金曜日

棲家

家の中に小川が流れている。玄関を入ったらまず川を跨いで越える。
廊下の真ん中は川だ。メダカが元気だ。
台所には、洗い物や飲み水用の溜め池があるから、実用的ではある。
居間には立派な座卓がある。川の上に座卓があるのだ。
足を伸ばせば、川の中に入ることになるから、この家では裸足でいるのが賢明だろう。
大家は「冬は温いです」と言った。それは冬にならないとわからない。
階段は、滝になっている。静かなもので、とくに飛沫が床や壁を濡らすこともないようだ。
二階には四畳半が二間、上がって右の部屋を寝室に、左の部屋を仕事部屋とすることに決める。さっぱりとしたよい部屋だ。仕事場も、文机さえ置ければよい。狭いことは、特に気にならない。
水源は、寝室の押し入れだ。「布団は濡れません」と大家は言った。
この奥には、小さくて広大な森が広がっているのだそうだ。
「森の神さんと水の神さんが時々、くすぐりに来ます」と大家は言った。
くすぐられて笑えば、水害も干ばつも起きない。だが、ほんの少しでも腹を立てたり、邪剣にすれば、国のどこかで災害が起きるという。

(457字)

↑滋賀県の琵琶湖畔の「川端(かばた)」、そんなイメージ。ずいぶん前に、NHKの番組で見て、憧れたなあ。実際住めば、水道しか知らない私には、戸惑いや困ることもあるのかもしれないけれどね。でもやっぱりいいよなあ。


この写真に興奮した。
ライトアップというのは、あんまり好きでないのだけど、さすがにこれはキタ。
洞窟は幼稚園のときに行った富士山の富岳風穴と鳴沢氷穴で好きになった。福音館書店の月刊誌たくさんのふしぎの「どうくつをたんけんする」堀内誠一で決定的になった。私の雑学の半分は、たくさんのふしぎでできている。
ケイビングはやらない。運動音痴だから。狭いの怖いから。