2009年3月12日木曜日

頭蓋骨を捜せ

 頭を失くした骸骨が訪ねてきた。頭がないせいでバランスが悪く、今にも崩れ落ちそうにギクシャクと歩いている。
「やい、一体どこで頭を失くしたんだ」
 骸骨は頭がないから、口が利けないみたいだ。筆談でこう言った。
「砂浜を散歩していたら、砂に足を取られて、転んで頭が外れました。頭は波に攫われて、海に流れていきました」
 まったく骸骨のくせに砂浜なんか歩くからだ。やれやれ、仕方がない。俺はボートを出して骸骨と海に出た。
 ボートの上で、骸骨は不安そうに俺に寄り添い、しがみ付いてくる。夕日を浴びて、白い骨が美しく輝いていた。
 さてと、早くコイツの頭を捜してやらにゃ、この子の顔も見られない。

(284字)
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500文字の心臓 第83回タイトル競作投稿作
○4