2009年1月6日火曜日

沈思黙考

黒猫は考える猫である。だが口数は寡ない。
人間語は伝達と思想と表現に遣うものだ、と黒猫は考えた。
黒猫が伝達すれば、それは人間語となり、少女は理解する。
黒猫が表現すれば、それは鳴き声となり、少女の手の中で尻尾がくねる。
「ヌバタマ、大好き」
〔……にゃおん〕
一度くらい、鳴き声じゃなく人間語で表現したいものだ。
と、やはり黒猫は無言で考えている。