2009年1月12日月曜日

子猫が訪ねて来た話

尻尾を切られた黒猫は、毛繕いの最中だった。
〔キナリ、子猫の声がする〕
「本当だ」
少女が部屋の扉を開けると、小さな猫が震えながら鳴いていた。
〔腹を空かせている〕
「でも、ミルクはさっきヌバタマが全部飲んじゃったから残っていないよ。どうしよう」
黒猫は、気にする様子もなく、今度は子猫を舐めている。
〔ナンナルが来れば、解決する〕
まもなく現れた月は、おやつに持ってきたミルクとビスケットを全部子猫に奪われ不機嫌になったが、子猫の瞳が赤いのに気がつくと落ち付き払って言った。
「キナリ、ポケットに何か入っていないか?」
少女はガーネットのネックレスを掲げた。
「この子も石を飲みこんじゃったんだ!」