2008年12月13日土曜日

メール奇譚

あの子からのメールはいつだって一文字も書いてない。「明日逢おう」の返事も、「好きだよ」の返事も、真っ白なメールが来るだけだから、YesかNoかもわからない。ただ返信だけは瞬時というくらいに早いから、僕はそれに縋りついている。
ところが、あの子からのメールを開いたまま、僕はふと携帯を耳に当ててみて、僕はあの子がとっても饒舌なんだと知った。びっくりして、慌てて、戸惑って。今まで来たあの子からのメールを全部初めてから聞き直した。
二時間掛けて聞き直して
「どうしたらきみと同じようなメールが出せる?」
と送信した。二秒も経たないうちに来た返事は
「バレちゃった?」
だった。