2008年7月25日金曜日

鳩と積み木

鳩は「城を建てる」と鳴く。
繰り返しそう鳴きながら、じっと僕の手を見る。
公園で枝を集めて、小刀で削っている。ほかにすることがないから、日が傾いて手元が見えなくなるまで、そうして過ごす。公園には人もたくさん通るけれど、だれも僕に「何をしているんですか?」なんて尋ねたりはしない。小さな人懐っこそうな子供ですら、僕を見るとすぐに視線を逸らす。なぜだかわからない。鳩だけが、僕の側に集まる。
小刀は精確に四角柱や円柱や球を削り出す。指先ほどの小さな積木。鳩は、出来た積木を僕の手から奪い取って、どこかに飛んでゆく。嘴できちんと挟まれた、美しい四角柱や円柱や球を見送って、次の枝に取り掛かる。
「王様は誰?」「お城はどこにあるの?」と時々訊ねる。そんなときは「くるっくぅ」としか応えてくれない。
とびきり美しい球体が出来た。これはお城の屋根の天辺に載せて欲しい。