2008年6月16日月曜日

仮想空間

入り口でIDを入力、料金が瞬時に引き落とされる。
真っ白なこの部屋には、パスワードが掛かっているから誰にも見えない。
「私」は部屋の真ん中で蹲る。
私は考える。炎に焼かれる自分の姿を見たい、と。
見る見るうちに部屋は炎に包まれる。「私」は立ち上がり、炎の少ないところを求めて部屋を彷徨う。まもなく皮膚が爛れてくる。呼吸ができずに倒れる「私」。
鏡では見たことのない苦悶の表情。火傷と相まって醜いことこの上ない。
私はどんな愛撫よりも激しく興奮する。。きっと「私」に負けないくらい醜い表情をしているに違いない。
苦しむ。悶える。恍惚。モニター越しに共有する私と「私」。

アラームが鳴った。部屋が真っ白に戻る。「私」は立ち上がり、部屋を出ていく。
明日は海にしよう。久しぶりに溺れたいから。