2008年5月7日水曜日

石畳

老婆は、柄杓で石畳に水を撒き続ける。濡れた石畳はぬるりと光る。
日が暮れて老婆が家に帰る。夜の間は、蛞姫が石畳をまんべんなく舐めて歩むから、月明かりに照らされていよいよぬらぬらと輝く。
朝早く、老婆が柄杓と桶と一掴みの塩を持って出てくる。
蛞姫に塩かけ、また日没まで石畳に水を撒く。夜になれば、素知らぬ顔で蛞姫は現れる。
何百年続いたかわからない、営み。