2007年7月18日水曜日

七月十八日 夜の増減

電気を落としたビルの一室で、夜の景色を眺めた。
信号機の赤と青、街路灯、家々の灯り、観覧車。
町の中心街に、聳え立つ超高層マンションには赤い光が点灯している。おそらく、飛行機のために。つまりは、人間のための。

私は時折この暗い部屋に入り、一瞬だけ我に返る。となりの明るい部屋では、明るい振りをしなくてはならないから。

超高層マンションの赤い光は、とても強い。
それが夜であることを示しているけれども、それは人間の夜に限った話だ。

何度目かに暗い部屋へ入ったとき、ふ、と赤い光が消えた。
赤い光を付けていたマンションの、窓の灯りも同時に消えた。
よくよく見ると、消えたのは光ではなかった。
マンションが消えたのだ。

人間の夜がほんの少し減った。ただの夜が少し戻った。
次は、私のいるこのビルかもしれない。それでも構わない。夜が戻るのなら。