2006年12月11日月曜日

コーヒーが冷めたら

喫茶店に通い、老人とコーヒーを飲む猫がいた。
猫は老人に懐いてはいたが、老人と朝の語らいをするために喫茶店へ通っているわけではない。
あくまでも、コーヒーを飲むためである。
猫は雪のように白い毛をしている。
その白い姿を褒めたり羨んだりする者は、人にも猫にも大勢いたが、猫は黒い毛皮に憧れていたのだ。
黒い水を飲めば、毛皮も黒く輝くのではないか、と猫は思う。
そんな猫の気持ちを知ってか知らずか、老人は今朝も二杯のモーニングコーヒーを注文する。
ちょうど冷めたころ、白い猫はやってくる。