2006年8月9日水曜日

夕焼けおすそ分け

夕焼け雨が降っている。何年振りだろうか。
大急ぎで白い木綿の布を持って外へ出た。
物干しに掛けて布を雨に当てる。
夕焼けが消える寸前に、布を引き上げ、絞った。
「あぁ…」
広げると夕焼けとまったく同じ茜色の布。私は夕食の仕度も忘れてうっとりと布を眺めた。

翌朝、すっかり乾いた布はもとの白い木綿に戻っていた。
そのまま畳んで箪笥のひきだしに仕舞う。次の夕焼け雨は、明日か十年後かわからないけど。

*綿*