2006年1月31日火曜日

ハンバーガーとコーラとポテト

ハンバーガーショップに店員は一人しかいなかった。
お下げ頭にキャップをかぶっている。きっと高校生だ。
「クヤエキュ?」
「え?」
「クヤエキュ?」
ぼくは彼女の顔をまじまじと見た。別にバカでもなさそうだ。
それどころか、かなりの美人だ、というかオレのタイプかもしれない。
「ハンバーガーと…コーラと、ポテト」
「スエアッケ、バムメ、ッメオイウ」
と言うと彼女は楽しそうに鼻歌を歌いながら厨房に引っ込んだ。
オレは外国にでも来たのだろうか?
家から四分のハンバーガーショップに来たつもりなのだけど。
そんなに頻繁ではないけれど、何度も来たことがあるハンバーガーショップに。
ほどなく、彼女はきちんとハンバーガーとコーラとポテトをトレーに載せて戻ってきた。
「ゥッベッキュ」
値段はレジに出るので分かる。ありがたい。
オレは彼女から一番遠い席に座って、モソモソとハンバーガーを食べた。
あの娘はまた、歌を歌っている。とても気持ちよさそうに。
どこの言葉なんだろう?なんでここで働いているのだろう?なんで一人なんだろう?
ハンバーガーは、いつもより数段旨かった。いつもしょっぱすぎるポテトの塩加減も言うことなしだった。それでもオレは縮こまってモソモソと食べ、彼女に気づかれないように、そっと店を出た。
どういうわけか、彼女の歌がいつまでも忘れられない。

《Ukulele》