2005年12月3日土曜日

拾いもの

雨の日の晩に男の子を拾った。
段ボールの中でうずくまって震えていた。
髪から滴が落ち、頬は真っ白。
大きな黒目でじっとこちらを見ている。
連れて帰り、びしょり濡れた身体を拭いてやった。
いくら拭いても彼の身体は濡れたままだった。
タオルを何枚も使って身体中を拭いた。
男の子は黙って立っている。そういえばこの子の声を聞いていない。
タオルを持つ手にだんだん力が入らなくなってきて
「おかしい」と思った瞬間に、男の子は消えてしまった。
後には床の水溜まりとぐっしょり重いタオルだけ。
私は何をしてたのだろう。