2005年5月12日木曜日

煙突に投げ込まれた話

帰り道。猫の道と人の道は、いつも異なる。
尻尾を切られた黒猫は、少女には構わず人様の庭に入っていく。
「いいな、ヌバタマ。ここから行けば近道だもん」
すると『ならば別の近道を教えてやる』と聞こえた。
少女の身体は、ぐいと持ち上がり、高く舞い上がった。
次の瞬間、少女は暖炉にいた。全身煤塗れである。
煙突に投げ込まれたのだ。
「ありがとう、流星。でも、もういらない。ヌバタマより黒くなった」