2004年2月11日水曜日

大根

大きなボウルに山盛りの大根おろしを前に途方にくれている。
実は私はイライラすると大根をおろしてしまうのだ。
単純動作の繰り返しと、おろし金の感触と音が、私の気を休めてくれるらしい。
大抵は大根半分もおろせば気が済むのだが、今日は気が付くと五本もおろしていた。
大したことがあったわけではない。
ただ張り切ってミニスカートで、デートに出かけたら、某巨大交差点の真ん中でカエルのように転んでしまい、
その瞬間をたまたま来ていたテレビカメラに生放送で流されてしまった、というだけだ。
大量の大根おろしをどうして食べていいのか、わからない。
「なます」にしても食べきれないかもしれない。
大根おろしを「おすそわけ」するわけにもいかない。
だんだんトゲトゲしいものが胸に溢れてきた。
私は財布に手をのばした。まだ八百屋は開いているはずだ。