2003年4月18日金曜日

正午

まだ花に水をやってないことに気付いた私は庭に出た。
きのうまで元気だったチューリップたちが一斉に落ちてしまい庭は幾分静かになっている。
ァアーーーーー
正午のサイレンが聞こえてきて、私は少し顔をしかめた。
なんだか焦燥感というか、追い立てられているような気がして聞くたびに心が波立つのだ。
サイレンが鳴り止むと私は小さく深呼吸をしてから
ブリキの如雨露を再び傾けた。
シャワーは虹を作った。
私は飽きもせず、小さな雨の行方を見守る。
雨はいつのまにか、赤黒い血に変わっていた。
遠くでサイレンが聞こえる。