2003年1月17日金曜日

思ひ出

昨晩、私は雪世界に迷い込んだ。暗くて寒い夜だった。
全身疲労し、一面の雪景色に方角もわからなくなっていた。
私は天に祈った。せめて月明かりを!
願いは通じた。
立ちこめていた雲は去り、新月間近の細い月が見る見るうちに逆戻りし、明るい満月になった。
私はしばし呆然としていたが、気を取り直して歩きだした。
月が明るい内に家に戻らなければ!
だが、心配は無用だった。
私が家に着き、礼を言うのを待ってから、月は静かに痩せていった……

屋根裏から出てきた祖父のノートを見せるとお月さまは少し驚き、多いに照れた。