2002年12月7日土曜日

黒猫を射ち落とした話

「あの電信柱のてっぺんにいる猫を狙ってください」
言われた通り弓矢を持って駆け付けると
お月さまはかなり焦っていた。
はやくとせかされ、八本も外してしまう。
ようやく九本目、猫に矢が刺さった。
血は流れず、矢にもやもやとしたものが集まるのが見えた。
やがて矢は猫の体から抜けて空へ飛んでいった。
「悪い星に取りつかれたんです。手遅れにならなくてよかった」
落ちてきた黒猫は傷もなく、幸せそうに寝ていた。
「明日には目覚めるでしょう」
黒猫はお月さまに抱かれて行ってしまった。