2002年11月27日水曜日

月をあげる人

「では、おやすみなさい」
『スターダスト』からの帰り、いつもの場所でお月さまと別れる……振りをする。
今夜はこっそりお月さまの後を尾行しようと決めたのだ。
お月さまはこちらには気付かない様子でスタスタと歩いていた。
しばらく歩くと小さな家に入っていった。
『黒猫の塔』だ。
家の前で待っていると、なんと煙突からお月さまと知らない小男が出てきた。
小男は手に何か持っている。パチンコだ。
私は街灯の蔭に隠れ見守った。
お月さまは小男のパチンコから飛んでいった。
小男はこちらに向かって小さなVサインをして見せた。